増刊号特集 小児泌尿器科診療
小児泌尿器科の最前線
Y染色体の分子生物学
中堀 豊
1
1東京大学医学部人類遺伝学教室
pp.45-49
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901152
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
Y染色体はヒトの染色体の中では最も小さいほうのG群に属する染色体である。もう一方の性染色体であるX染色体はC群に属する中型の染色体で伴性遺伝病として知られる疾患に代表される多くの遺伝子をもつ。女性は性染色体構成がXXでありY染色体をもたないが生きていく上でなんら問題はないから,Y染色体は男性を決める以外,重要な遺伝子を持っていないだろうというのが大方の見方であった。ところがY染色体のゲノム解析が進むようになって状況が変わってきた。現在までに,13の遺伝子および偽遺伝子がY染色体からクローン化されている。それ以外にも身長を伸ばす遺伝子,ターナー症候群の遺伝子,ターナー症候群の性腺腫瘍化に関与する遺伝子などの存在が推定されている。本稿ではまずY染色体の構造について概観し,次に臨床に関連すると思われる遺伝子・事項について述べる。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.