増刊号特集 小児泌尿器科診療
小児泌尿器科の最前線
小児腎移植の現況
川村 猛
1
,
宍戸 清一郎
1
1東京都立清瀬小児病院泌尿器科
pp.36-44
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901151
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はじめに
なんらかの内科的・泌尿器科的疾患によって腎機能が荒廃して,未期腎不全に陥る小児は人口100万人に年間2〜3人といわれ1),その発生率は必ずしも高くはない。小児の末期腎不全の治療法のうち,予後の惨澹たる状態であった往時の透析治療も,持続腹膜灌流(CAPD)などの積極的導入により著しい進歩と実績をあげつつあるとはいえ,予後の観点と肉体的・精神的に成長過程にある小児にあって最も重要なquality of lifeへの治療のもたらす影響の観点から,小児腎移植がその最終治療法であることは依然として論を待たない。
URSDS(United States Renal Data System)の1993年次報告2)を見ると,1989年導入された治療法別2年患者生存率は,生体・死体腎移植をうけた患者のそれが全般に透析治療を受けた患者のそれを凌駕しており,その傾向は若年児に著しい(図1)。
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