画像診断
水腎症に伴い自然に半回転した腎サンゴ状結石の1例
倉岡 哲郎
1
,
田口 恵造
1
,
細川 尚三
1,2
,
森 義則
1
,
生駒 文彦
1
1兵庫医科大学泌尿器科学教室
2大阪府立母子保健総合医療センター
キーワード:
腎結石
,
水腎症
Keyword:
腎結石
,
水腎症
pp.1052-1054
発行日 1993年12月20日
Published Date 1993/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901092
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患者 72歳,女性。
初診 1987年8月17日
主訴 無症候性肉眼的血尿。
既往歴 65歳時,膀胱炎,膀胱瘤。
家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 1986年9月,無症候性肉眼的血尿に気付いたが,消失したため放置していた。1987年7月,再び無症候性肉眼的血尿が出現し,近医にて左腎サンゴ状結石を指摘され,当科を紹介された。無症状のため経過観察していたが1990年7月のIVPにて,左腎の排泄遅延を認め入院となる。
現症 異常所見なし。
検査成績 異常所見なし。
入院後経過 左腎盂尿管移行部狭窄を伴う左腎サンゴ状結石と診断し,外科的治療として,左腎盂切石術,左腎盂形成術を選択した。腎盂周囲は,炎症性に癒着が強度であり,腎盂はサンゴ状結石が回転しえるに十分なほど拡張していた。腎盂を縦切開しサンゴ状結石を観察すると,上腎杯への嵌頓部を軸に180。回転していた。サンゴ状結石を摘出後,切開を尿管走行に浴って進め腎盂尿管移行部を確認し,Anderson-Hynes法に準じて,腎盂形成術を施行した。結石の大きさは,最大径6.5cm,結石成分はリン酸カルシウム72%,塩基性炭酸マグネシウム17%,炭酸カルシウム11%であった。腎盂尿管移行部の病理組織像は,粘膜下と筋層に炎症細胞の浸潤を認め,毛細血管の増生をみる中等度の慢性腎盂腎炎を呈した。
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