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特集 泌尿器系疾患の和漢薬治療
Ⅱ.病態別和漢薬の選び方,使い方
1 尿路不定愁訴
Treatment with Kampo of Unidentified Complaine
石橋 晃
1
Akira Ishibashi
1
1北里大学泌尿器科学教室
1Department of Urology, School of Medicine,Kitasato University
キーワード:
和漢薬
,
尿路
,
不定愁訴
,
漢方
Keyword:
和漢薬
,
尿路
,
不定愁訴
,
漢方
pp.283-286
発行日 1991年4月20日
Published Date 1991/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900288
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はじめに
現在,西洋医学が中心の現代医療の中で,漢方治療を単独あるいは併用する医師がきわめて増加しつつあるといわれている.この際どのような症例に漢方治療が用いられるかを,日本東洋医学会の行ったアンケートで調べてみると,まず西洋医学的に診断がつきにくく,病態生理が明らかでなく,あるいは診断がついても西洋医学的には十分な治療効果が期待できない症例という回答が多かった1).この結果はある程度妥当性があるものの,必ずしも漢方の特性を理解しているとはいいがたい.というのは従来西洋医学的治療に頼ってきた疾患でも,むしろ漢方治療がより優れている場合も少なからずあり,これらは積極的に漢方治療を第一選択にすべきと思われるからである.
しかし,西洋医学の手の届かぬ所を補うというやや消極的な漢方の適応を考えれば,アンケートに示されたような内容になるかも知れない.そしてこのような適応症例の中にかなり多くの不定愁訴を示す例が含まれていると思われる.つまり,西洋医学的には診断が困難でありそのため治療法の選択に苦慮するような症例でも,漢方では一般的症状と脈や舌の変化,それに腹証を手がかりとして「証」を診断し,これに基づいて適応方剤を選ぶ,これを一般に随証治療と言うが,この方法で治療法を見いだすことは必ずしも不可能ではない.
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