特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線
企画にあたって
ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線
菊地 栄次
1
1聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科学
pp.355
発行日 2022年5月20日
Published Date 2022/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207570
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2014年版腎盂・尿管癌診療ガイドラインの疫学総論の冒頭には,「腎盂・尿管癌は,同じ尿路上皮から発生する膀胱癌に比し稀であり,全尿路上皮腫瘍の約5%を占めるとされている」とあります.では,実臨床において,われわれ泌尿器科医は腎盂・尿管癌をまれな疾患であると認識しているでしょうか.国立がん研究センターがん情報サービス院内がん登録の集計結果を見てみますと,2012〜2013年の膀胱癌の登録数1万6091人に対して腎盂・尿管癌は6775人と,腎盂・尿管癌は尿路上皮腫瘍の実に約3割を占めています.決して稀ではない腎盂・尿管癌を含めた進行性尿路上皮癌に対する治療戦略に,近年paradigm-shiftが生じています.ペムブロリズマブ・アベルマブ・エンフォルツマブ ベドチン・ニボルマブなど,次々と新規薬剤が登場しており,改めてエビデンスを見つめ直す時期に来ていると考え,腎盂・尿管癌診療の最前線にフォーカスを当てたタイムリーな企画を立案しました.
診断編ではmolecular subclassification,UroVision®,photodynamic diagnosisの現状と将来性,また2021年8月に発刊された腎盂・尿管癌・膀胱癌取扱い規約第2版のポイントをわかりやすくお示しいただいております.治療編ではリンパ節郭清,周術期補助療法,転移性癌に対する薬物療法のup to dateな情報を詳細に解説いただいております.
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