増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
Ⅵ 泌尿器疾患
疾患と尿沈渣成分 ②尿路・性器腫瘍
腎盂・尿管癌
福原 秀雄
1
,
井上 啓史
1
1高知大学医学部泌尿器科学教室
pp.512-514
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201584
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病態
腎盂・尿管癌は,腎盂・尿管の尿路上皮から発生する悪性腫瘍で,組織型は尿路上皮癌を呈する.腎盂・尿管癌は,全尿路上皮癌の約5%であり,同じ尿路上皮から発生する膀胱癌に比べてまれな疾患である.50〜70歳の比較的高年齢層に発症することが多く,男性に多く発生する.腎盂・尿管癌の発生リスクとしては,膀胱癌と同様に喫煙,慢性感染症,シクロホスファミドなどの抗癌剤の曝露などがある.また,漢方薬草により,両側性・多発性の腎盂・尿管癌が発生することが知られている.漢方薬草に含まれるアリストロキア酸の代謝物質が腎実質に集積し,腎毒性や発癌性を示す.喫煙は,腎盂・尿管癌の罹患リスクが3倍に増加する.特に45年以上の長期間の喫煙の場合は,罹患リスクが7.2倍に増加する1).
腎盂・尿管癌は,症状のない血尿が発見の契機となる場合が多い.癌により尿管が閉塞し水腎症を認める場合は,背部痛や腰痛が出現することがある.これらの痛みは尿管結石による症状と類似しており,増悪寛解を繰り返す.
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