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中学生から高校生のときの私は,毎週金曜日夜8時からテレビに釘付けでした.私のお目当ては,『ワールドプロレスリング』の“燃える闘魂 アントニオ猪木”でした.プロレスが“ショー”“八百長”と揶揄される時代に,「ストロングスタイル」を標榜し,目の前の敵のみならず,世間と戦い続け,「プロレスに市民権を」と熱く語っていたアントニオ猪木は,私のみならず,当時の若者の憧れの的であり強さの象徴でした.テレビの視聴率も20%を優に超えていました.40年近く前の話です.あの当時大きな試合はすべてビデオに録画し,その数は50本以上になりました.高校生のときは,親からもらった昼食代を浮かせ,毎週発売される350円の雑誌『週刊ゴング』を買っていました.新日本プロレスの地方巡業にも行きました.若い皆さんには,アントニオ猪木といえば,「元気ですかー!」「闘魂注入ビンタ」のイメージが強いと思いますが,近年の格闘技イベント「PRIDE」「K-1」「RIZIN」などの登場は,時のボクシング・ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリなどとの数々の異種格闘技戦が,その発端となっているのは間違いありません.
先日,彼の闘病生活に密着したドキュメンタリー番組『燃える闘魂 ラストスタンド〜アントニオ猪木 病床からのメッセージ〜』がNHK・BSプレミアムで放送されました.「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」と診断され,生死を彷徨い続ける姿が生々しく放送されました.あの強くて逞しい姿は微塵もなく,やせ細り車いす生活を余儀なくされる弱々しい姿が映像に映し出され,胸が熱くなりました.「本当はこういう映像は見せたくなかったんですけどね.これも1つの強いイメージばっかりじゃなくて,こんなにも,もろい弱い.そういう1つの人間としてそういう場面があっても良かったのかなって」.
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