書評
薬剤師レジデントマニュアル 第3版―橋田亨,室井延之,西岡弘晶 編
宮﨑 長一郎
1
1有限会社宮﨑薬局
pp.649
発行日 2021年8月20日
Published Date 2021/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207313
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薬学教育6年制を経た薬剤師が誕生して10年がすぎた.その数は約9万2000人を超える.この数字は現在医療に従事している薬剤師の約40%に当たる.この間に医薬分業の指標である処方箋発行率は75%を超え,街の薬剤師は処方箋を扱うのが主たる業務になった.また病院では薬剤師が病棟にいるのは特別なことではなくなった.評者が薬剤師になったばかりの1985年頃,薬局薬剤師は医薬分業を,病院薬剤師はクリニカルファーマシーをめざして病棟業務を,それぞれ目標に頑張っていた.それがある程度達成され,教育制度も臨床を重視する6年制へと移行したわけである.
薬剤師を取り巻く状況の中で免許を取得した新人は保険薬局でも病院でも患者に向き合いながら薬物治療に関わることが日常になっている.しかしながら,保険薬局や病院は薬学生の実務実習を受け入れていくことに精いっぱいで,卒後の研修には手が回らなかったのが実情である.卒後研修は制度的には確立されておらず,オンザジョブトレーニングに頼っているのが現状である.
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