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書評 新人薬剤師のみならず中堅・ベテランにも薦めたいスタンダードマニュアル―橋田 亨・西岡 弘晶(編)『薬剤師レジデントマニュアル』
乾 賢一
1
1京都薬科大学
pp.660
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102597
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薬学教育改革による6年制薬剤師の誕生,診療報酬改定に伴う「病棟薬剤業務実施加算」の実現など,今,薬剤師にかかわる新しい話題が医療現場で注目を集めている.新卒薬剤師の教育は,これまで大学病院薬剤部の研修制度をはじめとして,各施設独自のカリキュラム,教材を用いて進められてきた.安全・安心の医療が求められる中で,医薬品の適正使用,病棟薬剤業務など,新しい薬剤業務を推進するために,新人薬剤師のトレーニングはさまざまな工夫を凝らしながら行われてきたが,ここ数年,医師にならった薬剤師レジデント制度が普及し始めている.薬剤師研修の教材は,これまで各施設において適宜作成されており,書籍として公開されているものはなかった.
このたび刊行された『薬剤師レジデントマニュアル』は,神戸市立医療センター中央市民病院の新人薬剤師研修プログラムを基本として,急性期医療の最前線で活躍している薬剤師や総合診療科医師が中心となって分担執筆されたものであり,待望の新卒薬剤師の研修マニュアルとして見事にまとめられている.総論の部では,薬剤師の基本業務,薬物療法を理解するための基本知識,腎障害,肝障害,高齢者などスペシャルポピュレーションに対する薬物療法の注意点,臨床検査値の読み方,フィジカルアセスメント,薬剤管理指導/病棟業務の注意点,など薬剤師業務を実践する上で,身につけてもらいたい事項がまとめられている.さらに各論として15疾患領域別に,病態,患者の状態把握,標準的処方例,薬剤師による薬学的ケア,そして処方提案のポイントなど病棟薬剤師としての対応がコンパクトに解説されている.
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