書評
--山浦 晶●編集 山浦 晶,小林 英一,宮田 昭宏,早川 睦●執筆--脳動脈瘤とくも膜下出血
村山 雄一
1
1東京慈恵会医科大学・脳神経外科学
pp.917
発行日 2013年10月10日
Published Date 2013/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436102098
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●くも膜下出血と脳動脈瘤に特化した力作
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は脳神経外科医にとってその診断から治療,術後管理に至るまで,脳神経外科診療の基礎が詰まっている病態である.本書は脳動脈瘤手術のパイオニアである山浦晶先生を代表とした初版から四半世紀を経て,歴史的考察から現代の最新の知見までをまとめた書である.この間,くも膜下出血の治療は大きく変貌を遂げたが,その背景にはEvidence based medicineの普及,クリッピング技術の改良,脳血管内治療の発展などがあり,また社会的には医療訴訟の増加などわれわれ医師を取り巻く状況も大きく変わりつつある.
医学書院よりタイムリーに出版された本書は脳動脈瘤によるくも膜下出血に焦点を絞り,また少数の筆者による執筆であるため,各章の統一性が高くevidenceがはっきりしている事例のみならずcontroversialな事例に関しても筆者の考え方がよく伝わっている.また豊富なmemoにより関連する知識の肉付けもなされており,教科書としてだけでなく読み物としても興味深い書である.
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