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第30回欧州泌尿器科学会会議(30th Annual Congress of EAU)が,2015年3月20〜24日の5日間,スペインのマドリードで開催されました。私たちの教室は,学会活動として本学会を最も重要なものととらえ,毎年,多くの教室員が参加,発表していますが,私は残念ながらこの学会にずっと縁がなく,51歳で念願の初参加となりました。全体の印象として,米国泌尿器科学会(AUA)と比べると,Non-native English speakerに優しい学会であると感じました。AUAと異なり,質問も早口なアメリカ英語ではなく,また理解できないときもわかりやすく言い換えてくれるなど,英語発表のストレスは随分小さいものでした。
さて,私の専門はOncologyですので,その分野に偏ってしまいますが,私が個人的に感じた学会のトピックスをいくつか述べさせていただきます。まず,根治的腎摘除(RN)の復権の風(?)を感じました。現在,小径腎腫瘍の標準的手術は,RNではなく腎部分切除(PN)になっていますが,ご存じのように,RNとPNの生存率を比較した,現在までに施行された唯一の前向き試験(EORTC)では,RNの全生存率がむしろよいという結果でした。それでもPNが推奨されていますが,今回の学会では「RNでもよいのではないか」ということを示唆する発表が複数ありました。少し例を挙げますと,#105 Comparison of long-term renal function outcomes after either partial or radical nephrectomy(SEER-Medicareデータベース):T1b腫瘍では,術後の腎機能はRNとPNと同様であった,#106 Partial nephrectomy does not improve cardio-specific survival in patients with localized renal cell carcinoma(ロシア):中央値50か月の経過観察で,PNはRNと比べ心血管死を減らさなかった,#107 Nephron-sparing surgery protects from chronic kidney disease relative to radical nephrectomy but does not impact on other-causes mortality:Long-term(more than 10 years)survival and functional outcomes in patients with a T1a-T1b renal mass(イタリアの共同研究):T1a-T1b腫瘍では,PNはRNに比べ術後の腎機能を温存するが,他因死には影響はなかった(差はなかった),といったものです。私たちも,#112 Progression of hypertension after partial nephrectomy in Japanese patients with renal tumors:RNと比べPNでは術後の高血圧の発症/進行が多いという発表でこの風(?)に乗らせていただきました。私個人として,まだPNの優位性を信じておりますが,今後PN/RNの適応について,現在とは少し異なった方向に進むのかもしれません。
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