- 有料閲覧
- 文献概要
2014年12月5日〜9日にイランのキーシュ島で開催された第12回アジア泌尿器科学会議(Asian Congress of Urology:ACU)に参加しましたので報告いたします。ACUはアジア泌尿器科学会(Urological Association of Asia:UAA)の総会ですが,日本人にとってはあまり馴染みがないかもしれません。UAAは「世界人口の60%を占めるアジア諸国における泌尿器疾患患者に対する治療の向上」を目的として1990年に設立され,同年第1回ACUが福岡で開催されています。発足当初ACUは3年ごとの開催でしたが,後に2年ごととなり,本年より毎年開催となりました。開催国も第2回大会以降,タイ,韓国,シンガポールなどのアジア各国で行われ,今回はイランでの開催となりました。日本泌尿器科学会はアジアの中で最も長い歴史を有しますが,アジア諸国の中には泌尿器科学会の歴史が浅い国も多く,ベトナムやネパールなど2000年代に入ってから設立された国も,そしてまだ設立されていない国もあります。それに伴いUAAへの加盟国も20か国まで増え,さらに本年より提携国としてオーストラリアとニュージーランドが加わりました。UAA参加国の泌尿器科医の人数は合計25,000人にもなるそうで,非常に大きな枠組みです。しかし,少なくとも日本における認知度は,まだまだ低いのではないでしょうか。現在学会事務局長(Secretary General)に京都大学の小川教授が就任されており,例年,日本からも講師としてシニアの先生方が中心となって,参加されているようで,今回も20名弱の先生が日本から参加しました。
かくいう私も今回が初めてのACUへの参加でした。UAAには“Youth Section”というアジア諸国の若手泌尿器科医の教育を目的としたセクションがあり,ACU期間中にワークショップを行います。日本泌尿器科学会の英文誌であるInternational Journal of Urology(IJU)はUAAのオフィシャルジャーナルでもあるので,そのワークショップに例年IJU編集委員が講師として参加しています。今回私もIJUの編集委員を務めている関係で講師としてワークショップに派遣されました。まずイランで開催されると聞いたとき,UAAに中東の国が含まれていることに驚きました。そしてイランと聞いて,全く国民生活のイメージが湧かないうえに(むしろ政治的にはネガティブなイメージが少しありました),インターネットなどでも観光情報がきわめて少なく,不安を覚えました。しかし実際に行ってみると,学会の開催されたキーシュ島は,イラン初のリゾート地を目指して国を挙げて取り組んでいる,綺麗なビーチと穏やかな人々が暮らす島でした。ただ,あまり国際交流の機会が少ないためか,入国審査やホテルのチェックインなどのあらゆる手続きに信じられないくらいの時間がかかったり,午後1時半から5時までは観光客がいようが関係なくお店が閉まったりと,海外から観光客を呼び込むにはもう少し時間がかかりそうな印象です。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.