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第9回アジア皮膚科学会議(Asian Dermatological Congress:ADC)は,2013年7月10~13日,香港のコンベンションセンターを会場に,Henry Chan教授を会頭として盛大に開催された(図1).Henry Chan教授は,『西日本皮膚科』の「世界の皮膚科学者」にも写真入りで紹介されているが1),蝶ネクタイがよく似合う,きわめておしゃれでリッチな英国仕込みの紳士である(何しろ乗組員4人を雇用するかなり大きな彼の自家用クルーザーで香港湾をクルーズしたことがあり,また彼の洋服はすべて銀座仕立て,築地の高級寿司店の常連というから,ランズエンドを着込み,お寿司といえば回転するものと思っている私とはだいぶかけ離れているのは間違いない).彼は長年アジア皮膚科学会の事務局長を務めており,アジア皮膚科学会は実務的には彼の尽力で運営維持されてきたと言っても過言ではない.私も現在アジア皮膚科学会副理事長であるが,アジア皮膚科学会の実情や細かい経理内容などは彼に聞かないと何もわからないことを吐露しなくてはならない.その彼が,満を持して会頭を務めて開催したのが今回の第9回アジア皮膚科学会議であった.彼も今回を最後にアジア皮膚科学会の実務から身を引くと宣言していることもあり,彼の今回の会議への意気込みは尋常ではなかったことがうかがわれた.実は第8回アジア皮膚科学会議は2008年にソウルで開催されたので,当初の予定では2011年に香港で第9回アジア皮膚科学会議が開催予定であったが,同年にソウルで世界皮膚科学会が開催され,また翌年の2012年には北京で東アジア皮膚科学会が予定されていたこともあり,開催が2013年までずれ込んだ経緯がある.
多くの日皮会会員はご存じないと思うが,アジア皮膚科学会は久木田東大名誉教授らが中心となって設立された経緯もあり,いまも『J Dermatol』はアジア皮膚科学会の機関誌でもある2).もっとも本会議が日本で開催されたことはなく,東南アジアを中心に持ち回りで開催されてきたが,本学会では東アジア~東南アジアのみでなく,インドなどの南アジアや中東各国もアジアの一員としてメンバーであり(トルコのボスポラス海峡まではアジアである),次回の会議は2016年にインドのムンバイで開催されることになっている.ちなみに,2019年の世界皮膚科学会にはインド,中国,アラブ首長国連邦の3国が立候補を決めており,アジア皮膚科学会としては,その誘致にいずれの国を推すべきか,うれしい悲鳴をあげているところである(2015年はご承知のようにバンクーバー開催が既に決まっている).
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