文献抄録
前立腺癌スクリーニングにおける経時的直腸指診の評価
pp.105
発行日 1989年2月20日
Published Date 1989/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204917
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前立腺癌は癌が前立腺に限局している時期に発見すれば根治手術は可能である。そこで,前立腺癌の早期発見のスクリーニングとして従来からいろいろな方法が行われているが,現状では直腸指診が最善の方法である。そこで著者らは経時的前立腺触診を行って癌の早期発見のために,どのくらいの間隔で触診するのが適当であるかについて検討している。
検討症例は1978年1月より1985年9月までの間の受診者中から,40歳より79歳までの男性4843名について直腸指診の成績を検討した。被検者の年齢分布は60〜69歳が2083名で一番多く,50〜59歳は1316名である。これらのうちで前立腺に硬結を触知したのは312名で,この硬結を生検して癌と診断された者は122名(39%)であった。癌と診断した症例はすべて臨床的にstageを決定し, X線検査,RI骨スキャン,前立腺性酸フォスファターゼ等を施行した。癌の122名については,初回の指診の結果から癌と判明した者は80名でこれを第1群とし,初回は正常であったが,経時的指診の結果から癌と診断された者は42名で第2群とする。この両群患者のstage分類についてみると,第1群Bは46名,Cは10名,Dは24名であり,第2群ではBは31名,Cは1名,Dは10名である。両群のstage Bの患者については癌は前立腺に限局されており,他の部への転移は認められなかった。
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