交見室
血管確保用の鈎および開創器について/経胸,腹膜外式副腎摘出術について
森下 英夫
1
1新潟大学泌尿器科
pp.176
発行日 1987年2月20日
Published Date 1987/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204441
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本誌第40巻11号岩坪暎二先生の小さな工夫「膀胱開創器(バスケットリトラクター)」を拝読させていただきました。手術器械にたいし,積極的に取り組まれ,高価なものでなくとも十分な効果をあげられていることに対し,改めて敬意を表する次第です。われわれは「工夫」などというオリジナルなものではありませんが,3年前より使用し役に立つている器具があるので,紹介したいと思います。
近年リンパ節郭清を含む各種の根治的手術が盛んになり,泌尿器科も血管外科とよべる部分が多くなつてきたことは周知のとおりです。腎動静脈の露出や各種リンパ節郭清の際,従来は血管確保にネラトンカテーテルや綿テープを用いてきましたが,Gil-Vernetの改良型腎門鈎を使用すると,1)血管を持ち上げる際,位置の移動がスムーズである,2)全周を剥離できなくても持ち上げることができる,3)カテーテルや綿テープにくらべて血管を不用意にひつかける可能性が低い,4)4種類の大きさがあり,血管の太さにより選べる,5)柔軟であり,曲がりの角度が自由に変えられる,6)小出血ならこれで圧迫しながら手術を進めていけるなどの利点があり,時間短縮の助けになると思われます。
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