講座
BCGの効果
柳沢 謙
1
1国立予防研究所結核科部
pp.11-15
発行日 1952年7月10日
Published Date 1952/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200312
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
BCGか人体接種(主として乳兒は対する経口投与)に用いられる樣になつた1921年から30数年を経過致しました。その間数々の反対意見に会いながらも今日の樣に成長し,欧洲では北欧三国を,亞細亞では日本を中心に,世界各地で結核予防の有力な武器として採用されるに至つたのは如何なる根拠によるのでありましようか,それを考えて見たいと思います。
BCGに対する反対意見として以前からあつたものは,次の二つに大別することが出来ます,その第1は,元来BCG(Calmette Guérinの菌という意味)は有毒の牛型結核菌で,それが長期間特別の培養基に植え継がれることにより現在の如き弱毒菌となつてはいるものの,何時又昔の樣な強毒菌に変化するか判らないからBCGを人体に注射するのは危険であるということであります。しかしこの点については,我国や世界各国の学者が,延べにすれば何億という多数の人々に接種して来た経驗から,全く危険の無いものであることが証明され,皆樣も日常まのあたりみておられるでありましよう。また,我国でははすべて国家検定を受けて合格したものだけが市販に出されることになつており,検定には安全試験(製品が有毒菌を含んでいるかどうかの試験)も実施されている訳でありますから,一層安心して良いことになります。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.