Japanese
English
綜説
多臓器障害
Multiple Organ Failure
相川 直樹
1
,
若林 剛
1
,
阿部 令彦
1
Naoki Aikawa
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
1Department of Surgery, School of Medicine, Keio University
pp.433-444
発行日 1986年6月20日
Published Date 1986/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204281
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はじめに
多臓器障害とは,心,肺,肝,腎,消化管などの重要臓器または系の2つ以上に,同時あるいは経時的に機能障害を起こした重篤な症候群であり,英語ではmultiple organ failure (以下MOF),日本語では多臓器不全,複合臓器障害,複合臓器不全などともいわれる。MOFは長時間にわたる侵襲の大きな手術後や,重症外傷,広範囲熱傷,ショック,重症感染症に合併して起こることが多く,ひとたびMOFとなると死亡率はきわめて高くなる。MOFが集中治療・重症管理医学の分野で一つの症候群として注目されるようになつたのは1950年代後半であり,米国において主に重症の外科患者の新しい死因として取り上げられた。わが国においてもMOFに対する関心は1980年頃より急激に高まり,集中治療室や救命センターの医師の間のみならず,他科の医師の間でも注目される重篤な症候群の一つとなつている1)。
本稿ではMOFについて,発生機序を中心に概要を述べるとともに,その臨床的意義について解説したい。
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