病気のはなし
多臓器障害
吉川 恵次
1
,
武藤 輝一
2
1新潟大学病院救急部
2新潟大学第一外科
pp.118-122
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204395
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
サマリー
多臓器障害(MOF)とは,大手術,重症外傷,熱傷,重症感染症などの侵襲(主として外科的ストレス)およびこれらに伴うショックを契機として心,肺,腎,肝などの主要臓器が同時にまたは次々に障害されてくる病態である.歴史的にみるとMOFは人工腎,人工呼吸器などの人工臓器の発達を背景に生まれてきた現代の症候群ともいうべきものであり,はなはだ難治かつ予後不良な病態である.上記のような侵襲に暴露された患者の治療に当たってはつねにMOFの発生を念頭に置き,その予防に努めることがたいせつである.現在MOFの治療はいまだ各障害臓器に対する,主として人工臓器による治療の総和の域を出ない.今後よりよい人工臓器の開発,代謝栄養学的あるいは生体防御機構に関する全身的治療法の進歩が期待される.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.