文献抄録
前立腺癌の排尿障害に対する内分泌療法/Pyronie's Diseaseの放射線体外照射治療について
pp.988,1024
発行日 1985年12月20日
Published Date 1985/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204179
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進行性前立腺癌による排尿障害の治療法はいろいろあるが,その選択については諸家の意見は一致していない。経尿道的前立腺切除術(TUR-P)は安全で速効があり信頼しうる方法とされているが,最近ではTUR-Pは癌細胞の散布,転移形成などでかえつて予後を悪くする(McGovanら,1980)との報告がある。進行性前立腺癌(stage C, D)による排尿障害に対して内分泌療法は,前立腺を縮小させて排尿を可能にすることはよく知られているが,従来まとまつた報告は少ないので,著者らは40症例について検討して報告している。
症例はstage C 10例,stage D09例,stage D1(リンパ節転移)1例,stage D2(骨転移)20例で,何れも排尿障害を強く訴えている。内分泌療法として両側除睾術により経過を観察したが,3例は死亡し,2例はTUR-Pを併用したので,これら5例は除外された。すなわち除睾術のみにより観察した35例の成績は,9例(25.7%)は術後1週間の導尿を必要とし,16例(45.7%)は3ないし9週間の導尿後排尿は自由になつた。また10例(28.6%)は術後3ヵ月以内にTUR-Pを必要とした。以上から35例中24例(68.6%)は除睾術により排尿可能となつた。これらの症例では,癌のstageと排尿効果の間には特に相関はみられず,gradeとの間では癌の分化度が高いほど排尿効果が良かつたといえる。
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