文献抄録
前立腺癌の遠隔照射療法
pp.503
発行日 1971年6月20日
Published Date 1971/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201186
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前立腺癌の放射線治療は抗男性ホルモン療法のかげにかくれてかえりみられなかつたが,R.I.の出現でFlocksらが198Auを用いて治療効果をあげてから.再びBagrhaw, Geo-rge,その他の人々により体外照射の効果が検討され,最近では高圧X線装置の改良で一般にも注目されるようになつてきた。著者らは過去5年間に200例の前立腺癌を放射腺その他で治療したが,この症例中から次の条件,すなわち生検により前立腺癌と確認され,X線検査で骨その他に転移が認められないもの,フォスファターゼ値の酸・アルカリ共に正常域にあり,また5000Rads以上の照射にたえ,かつ抗男性ホルモン治療をうけていないとの条件に適合した41例を選んで臨床効果について検討を加えた。放射線としては大部分の35例が60Coの3門照射で,週5日間で6ないし8週に腫瘍線量として5300から7200Radsを照射した。
41症例の内容は1度2例,2度4例,3度35例である。結果についてみると,まず直腸診で前立腺癌を正確に診断し得る37例中27例が触診上腫瘍の縮少を認め,早期の縮少例は少数で多くは治療開始後数ヵ月を要した。治療後レ線上転移が証明されかつPhosphatase値の上昇をみたものは8例で,治療後5ヵ月から8ヵ月の間にみられた。
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