文献抄録
放射線照射後の前立腺癌全摘除について
pp.1051
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203046
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今世紀の初頭より前立腺癌に対する放射線照射は種々な方法により試みられている。最近では超高圧放射線照射がさかんに行なわれているが,照射後の癌病巣の検索は専ら生検法によつて行なわれているので,照射効果の評価は十分といえない現状である,そこで著者らはメイヨークリニックで1965年より1976年まで301例の前立腺癌全摘除症例中,術前に放射線照射をしてから全摘と骨盤リンパ節清掃を行なつた18症例について詳細な組織学的検索を試みてその結果を報告している。
症例18例のstageはBが12例,Cが6例で骨スキャン,血清中フォスファターゼなどで転移の有無も検索された。放射線は主として4または6mexの装置で照射門は一定しないが,腫瘍線量として6,000radsを骨盤腔を含めて照射した。4名は5,000rad,2名は4,000radsの症例があつた。放射線照射終了後前立腺全摘までの経過期間は一定しないが,6週間から遅い例は6年後に行なつている。また術後の経過観察期間は18ヵ月から10年におよんでいる。結果については18例中16例に癌病巣の残存が組織学的に証明された。リンハ節には全例転移病巣はなかつた。全例手術による死亡例はなく,術後の合併症としては1名の肺血栓例と7例に部分的尿失禁者があつたが6カ月後には失禁が消失した。
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