小さな工夫
尿道鏡を利用した糸状ブジー法
山中 望
1
,
宮崎 治郎
1
1神鋼病院泌尿器科
pp.508
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204067
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前立腺摘除術後の後部尿道狭窄に対し,尿道鏡を利用した糸状ブジー法を行い,安全かつ容易に尿道を拡張しえたので報告する。
症例は76歳の男性,数年前に某医で前立腺摘除術を受けた。その後,経過良好であつたが,排尿困難および膿尿が出現してきたため当院を受診した。チーマンカテーテルを用い導尿を試みたが,挿入できなかつた。後部尿道狭窄と診断し,ルーチンに行われている糸状ブジー法を試みたが不成功であつた。仙骨麻酔下に尿道鏡を施行し狭窄部位を観察すると,後部尿道はほぼ直角に屈曲し12時の方向に狭窄部位が認められた。そこで,この狭窄部位に尿道鏡の先端が接するように固定したのち,光学視管のみを抜き去り尿道鏡外管を通して延長糸状ブジー(付図)を膀胱内へ挿入した。この延長糸状ブジーを膀胱側へ進めながら尿道鏡外管を抜き去り,キーファーカテーテルをはずすと一般の糸状ブジーが挿入された状態となる。この操作に引き続いて尿道拡張ブジーを行つた。その後,定期的に尿道ブジーを行つているが,排尿状態はきわめて良好である。
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