演習・X線診断学 消化管X線写真による読影のコツ・4
二重造影法について
熊倉 賢二
1
,
杉野 吉則
1
1慶大放射線診断部
pp.569-574
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206536
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消化管のX線診断は,単に撮影された写真の読影だけではすまされません.それよりも,病変が忠実にあらわれている写真をとることの方がもっと重要です.よい写真さえとれれば,診断は非常に容易になってしまうからです,それに反して,目的意識もなく慢然とX線検査をすませ,あとになって撮影した写頁を読影しようといくら一所懸命になって議論してみても,そんな写真には病変がほとんど写っていないのが普通ですから,まったく無理な話です.しかし,これは日常よくみかける風景です.読影に苦心するよりも,再険査をするなり,内視鏡検査をすべきでしょう.または,検査の失敗とみなして,検査法の検討をした方が得策でしょう.したがって,"消化管X線写真による読影のコツ"というタイトルは適切ではありません."消化管X線検査のコツ"とした方がよいでしょうこのことはぜひ忘れないで頂きたいものです.
このようなことがあるので,X線検査が終わったら,検査が十分にできたかどうか,盲点がないかどうかを検討する必要があります.また,読影にあたっては,この写真はよい写真かどうか,どの程度の病変ならあらわれる写真であるかといった検討も必要です.このような写真のでき具合の判定をしたうえで読影をしないと,大きな誤診の原因になってしまいます.前に述べたように,遠隔操作式X線TV装置でとった写真は鮮鋭度が非常にわるくなっていますから,その点は十分に考えに入れておいて下さい.
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