臨時増刊特集 図解 診療基本手技
Ⅳ 診療手技
B 消化器検査法
61.小腸造影法(二重造影法)
小林 茂雄
1
1帝京大学附属市原病院・放射線科
pp.2426-2429
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220720
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胃や大腸のX線検査は二重造影法が中心であるが,小腸のX線検査は,つい最近まで経口検査しか行われていなかった.造影剤を,ゾンデから小腸へ直接注入する方法は,古くから発表されていたがあまり活用されていなかった.経口検査では,小腸の微細な変化の描出ができなかった.したがって診断学も,病変の間接所見の記述が主であった.最近になり,SellinkやHerlingerらにより,水またはメチルセルロース溶液を追加注入する方法(いわゆる薄層法)が発表され,小腸の検査法も様変わりしてきた.当然,小腸のX線診断学も変わっていかなくてはならないが,欧米の診断学にはあまり大きな変化はみられなかった.
一方,本邦では,筆者らおよび中村らによって空気を用いた方法(いわゆる二重造影法)が発表され,診断学が急速に変化した.これは,空気による二重造影像が,微細診断に適していたからである.八尾,司,牛尾らによって,小腸病変の詳細な記載がなされ,完全に欧米を追い越したといってよい.
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