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書評「二重造影法」
高田 洋
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1早期胃癌検診協会 中央診療所
pp.1411
発行日 1970年10月25日
Published Date 1970/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111269
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本書を手にして,ついに出たという深い喜びを感じたのは私一人ではなかったろうと思う.
今日わが国で消化管のX線診断に繁用されている二重造影法は,充盈像と並ぶ大きな柱となっていることは衆知の通りである.大腸の検査に用いられていた二重造影法を上部消化管診断に応用し,今日の確固たる診断価値を与えたのは白壁,市川,熊倉氏らの偉大な功績である.X線診断にたずさわる医師なら,今日至極あたりまえの技法として日常安易に応用されるまでになった本法ではあるが,一歩退いて反省する時,本当に二重造影法の最大の診断的効果をあげているかどうかは疑問な場合も少なくはない.おざなりの不充分な二重造影像でお茶をにごし,本当の意味での二重造影法の特徴を発揮できていないフィルムを見かけることも多い.編者の白壁教授がその序文で記しているように「偶然にえられた撮影像ではなくて,計算された.しかも予定通りに撮らなくてはならない撮影像」というのが今日の要求なのである.Area gastricaeのレベルに於て病変が論じられ,診断しようと努力している時代である.本書はこうした最良の二重造影像をとるための解説書であり,指導書である.
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