印象記
国際尿禁制学会(ICS)に参加して
近藤 厚生
1
Atsuo Kondo
1
1名古屋大学医学部泌尿器科学教室
pp.170-171
発行日 1985年2月20日
Published Date 1985/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203989
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第14回国際尿禁制学会(International ContinenceSociety,ICS)に出席する機会を得たので,学会の内容,印象を報告する。1984年はMadersbacher (インスブルック大学,泌尿器科教授)が会長となり,9月13日〜15日まで,オーストリアのインスブルック市において開催された。26カ国より約450名が出席した。応募演題は年年増加し,250題のうち50題が口演,53題がポスター形式による討論であつた。
今年のメインテーマはneurogenic urinary tract dys-functionとurinary incontinenceであつた。幻の論文ともいえるIntravesical electrotherapy(Katona : Urol.int.,30:192,1975)の著者が今学会に再登場したのが注目を集めた。Katonaら(Budapest)は二分脊椎症児40名で髄膜瘤閉鎖術前,すなわち生後2〜10時間以内に第1回目のelectrotherapyを行つた。膀胱機能の回復程度はコントロール群に比して有意に有効であり,新生児期から治療を開始することの重要性を主張した。この治療法を追試した論文はきわめて少ない。排尿反射弓の機能回復機序については不明の点が多いが,今後の治療成績に注目したい。
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