学会印象記
第16回国際尿禁制学会に出席して
近藤 厚生
1
Atsuo Kondo
1
1名古屋大学医学部泌尿器科学教室
pp.82
発行日 1987年1月20日
Published Date 1987/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204420
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第16回国際尿禁制学会(International ContinenceSociety, ICS)が1986年9月17日より3日間,米国東海岸のボストン市において開催された(出席者数500名)。応募演題は20力国から229題で,61題(27%)が口演に,43題(19%)がポスター討論に選ばれた。いずれの発表内容も高水準であつた。本邦からは約20名が参加し,口演5題とポスター3題が採用された。Up-to-dateなもの,および重要な発表について概略を述べる。
1)不安定尿道(urethral instability, UI)に関する発表が5題あり,現在注目を集める領域である。UIは正常者と尿失禁患者の両者に観察され,生理的現象とする意見が大勢を占めた。しかし,Hilton (英国)は尿道内圧変化の絶対値よりは最大尿道閉鎖圧(MUCP)に対する相対的変化(MUCPの%値で表示)でUIを検討し,30%以上を異常値とすると,尿失禁患者の分布とよく相関すると述べた。UIの測定にはマイクロティッブトランスデューサーを用いるため,本邦においてもこの新しい装置が必要になるであろう。
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