交見室
難治性前立腺炎の経穴刺激療法について/精索静脈瘤の血管塞栓術について
原川 一哉
1
,
勝岡 洋治
2
1小山市民病院泌尿器科
2東海大泌尿器科
pp.172-173
発行日 1985年2月20日
Published Date 1985/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203990
- 有料閲覧
- 文献概要
本誌38巻11号に掲載された拙稿「難治性前立腺炎に対する経穴刺激療法の経験」に対して会田靖夫先生よりコメントと御質問(38巻12号交見室)をいただき有難うございました。針灸に関してはまだまだ浅学な小生には深遠な針灸理論や名人芸的なテクニックは使うべくもありませんが,経穴や経絡を刺激する各種の東洋医学的治療法は前立腺炎も含めて泌尿器疾患に有効な場合が多く,漢方と同様に日常診療にもつと取り入れられてもよいのではないかと日頃感じております。
慢性前立腺炎は東洋医学的に虚証に入る疾患なので「実はこれを潟し,虚はこれを補う」という針灸の治療原則から補的治療が主となります。灸は補的効果が大きい治療法ですが,灸痕が残る欠点や外来で施行するには手間と臭いの問題があります。現在,小山市民病院泌尿器科外来にて行つている治療手技は東北大に在局した当時と異なり,刺針をせずに皮膚面電極をもちいた低周波パルス刺激と磁気プラスター(1500ガウス)の貼付を週1回の割で4ヵ所(2〜3穴)の経穴に対して行うだけに簡略化し,しかもより補的効果をあげられるようにしております。東洋医学的な私見ですが,慢性前立腺炎は単に前立腺のみの疾患と考えず,慢性的な骨盤内異常の一部であると理解したほうがよいと考えます。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.