手術手技
追加発言・2
田利 清信
1
Kiyonobu Tari
1
1埼玉県立がんセンター泌尿器科
pp.861-862
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203900
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国立がんセンター226例という多数例の小骨盤腔リンパ節郭清術を施行して到達された定型的手術手技に敬意を表します。その結果として閉鎖節領域に術後再発が多かつたとのことは,臨床医として教えられること大である。
埼玉がんセンターはいまだ10年を経過しておらず,骨盤内リンパ節郭清の意義を結論するに到つていないが,私は,骨盤内動脈周囲をよく触診し,硬く,大きくふれるリンパ節があれば,その中枢の正常部より患部に向つてリンパ節郭清をしている。したがつて,腫瘍切除術,あるいはreductivesurgeryに近いリンパ節郭清といえる。膀胱全摘を要する膀胱癌で,内腸骨動脈一総腸骨動脈周囲のリンパ節を摘除した生検で,触診ではつきりしなかつたリンパ節で転移のあつたものはいまだ経験しておらず,リンパ節転移に関しては,触診と病理診断はよく一致し,転移と思つたリンパ節が反応性腫大のことはしばしばあり,触診診断(+)のリンパ節郭清は,転移に関しては過剰になりやすく,そのためにも必要にして十分で,膀胱全摘で全例に定型的リンパ節郭清は必要ないと思つている。
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