手術手技
追加発言 2
木下 英親
1
Hidechika Kinoshita
1
1東海大学医学部泌尿器科学教室
pp.385-386
発行日 1984年5月20日
Published Date 1984/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203804
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腎瘻造設術(以下,腎瘻術)は,超音波監視下経皮的腎瘻術がさかんに行われるようになつたため,手術的腎瘻術のうち,永久的腎瘻術を施行する機会は非常に少なくなり,腎盂形成術など手術に伴つた一時的腎瘻術が多く行われているのが実情である。また後日の手術を期待した,たとえば,後腹膜線維化症や,予後の悪くないと考えられる子宮癌手術や放射線治療後の水腎症のような場合にも,経皮的腎瘻術が優先して行われる。岡田先生らの述べている腎瘻術の分類,適応,手術手技は,筆者の場合と大きな差はなく,追加することは難しいが,蛇足となることは覚悟で,気のついた点を述べて責を果すこととする。
まず,主として悪性腫瘍患者にみられる腎後性無尿の際の腎瘻術は,超音波監視下の経皮的腎瘻術が第一選択になつたということである。無尿の場合に,画像診断として超音波検査は最適であり,腎実質の厚さ,腎杯,腎盂,尿管の拡張の程度と左右差の診断が可能で,引きつづき経皮的腎瘻術が行える。緊急にでき,手術による侵襲もなく,同時に造影により,尿路の閉塞部位の診断ができ,拡張器の使用で,一期的にマレコットカテーテルや,バルンカテーテルの留置も可能になつてきた。腎後性無尿に対して尿管カテーテル法を試み,尿管カテーテルがうまく留置できれば全身状態の改善をまつて手術を,不能であれば緊急手術として尿管皮膚瘻術,さらには腎瘻術をという手順は昔のものとなつてしまつたようである。
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