Japanese
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特集 尿路性器癌の化学療法
前立腺癌の化学療法
Chemotherapy of Prostatic Tumor
河合 恒雄
1
,
鷲塚 誠
1
Tsuneo Kawai
1
,
Makoto Washizuka
1
1癌研究会付属病院泌尿器科
1Department of Urology, Cancer Institute Hospital
pp.471-477
発行日 1984年6月20日
Published Date 1984/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203822
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緒言
estrogen療法における心血管障害の問題がVACURGにより指摘されたことが契機となり前立腺癌の化学療法が検討され始め,現在ではホルモン不応性前立腺癌と再燃前立腺癌を対象として各種抗癌剤の単剤,多剤併用の研究が国の内外を問わず盛んになつてきた。
前立腺癌は新鮮例ではestrogenによく反応するが,一旦抵抗性を獲得した場合,適当な治療手段がなく,化学療法を行つてもその後は急速に悪化し,miserableな経過をとるのが通常である。その原因としては前立腺癌に対してまだ有効な抗癌剤が発見されていないこと,抗癌剤に反応してもその持続期間が短いことと,患者が高齢で抗癌剤の強い副作用に耐えられないことなどが挙げられる。したがつて,再燃癌の化学療法の探求と共に,再燃癌にまで発展しないように初回治療における工夫,つまり,ことにstage B,Cの症例の根治性を高める工夫や,再燃するまでの期間を遅らせる工夫も大切なことである。たとえばstage B,Cの根治性を高める工夫としては前立腺癌根治手術術式の確立,Linac放射線治療による根治性の向上と骨盤リンパ節対策の探求などが行われている。また再燃癌に至る過程の遷延化としては,初回治療として抗癌剤を投与したり,estrogenと抗癌剤を併用したりという治療方法の開発が今後の課題である。
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