手術手技
追加発言 2
廣瀬 欽次郎
1
Kinjiro Hirose
1
1都立墨東病院泌尿器科
pp.506-507
発行日 1983年6月20日
Published Date 1983/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203589
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近年の骨盤内外科,特に婦人科手術手技の向上に伴い,良性疾患における膀胱腟瘻の発生頻度は減少の傾向にある。しかし,悪性腫瘍に対する根治手術,放射線治療に起因する本症は今後も減少するとは思えない。一方,最近急増しつつある医事紛争の立場よりみると,一旦発生した医原性膀胱腟瘻に頻回の手術を行うことは,泌尿器科医をも被告の座に追いやる可能性がある。かかる観点よりすると,既に岡島氏らも述べておられるごとく,膀胱腟瘻は,1回の手術で完治させるのが必須条件であり,そのためには適応を厳重に守り適応外の症例には尿路変更手術の施行も止むを得ないものと考えている。
筆者らは,膀胱腟瘻の根治手術には,膀胱後壁にラケット型切開をおいて瘻孔部を含めて広範に瘢痕組織を切除する恥骨上式—経腹膜—経膀胱術式を多用し,その手術術式の詳細は本誌に発表したところである(臨泌,30;291,1976)。本法のコツを簡単に述べることとする。
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