手術手技
追加発言 2
石橋 道男
1
Michio Ishibashi
1
1大阪大学医学部泌尿器科学教室
pp.1043-1044
発行日 1984年12月20日
Published Date 1984/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203937
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腎移植術手術手技については,長谷川先生が細かく術前検査,移植腎血管吻合術,膀胱尿管新吻合術の留意すべき点を述べられ,あらたな追加発言は特にないが,当教室でこれまでなされてきている手技上でのいくつかの異なる点にふれ,最近,複数動脈の際の端側吻合にaortic punchを用いて行つているので紹介したい。
術後の抗生剤は,当教室では生体腎移植,死体腎移植いずれの場合も,ペニシリン系,セファロスポリン系抗生物質を使用し,泌尿器科の無菌手術に準じた量を術後より5日目頃までは点滴静注し,その後は少量で内服を創治癒の術後2週目頃まで使用している。長谷川先生も指摘しているように,死体腎移植の使用はとくに必要となるであろう。死体腎ドナーが脳外傷の場合,他に開放創を有すこともあり摘出腎が完全には無菌的でないこともありうるので,移植腎保存中の灌流液の培養は必ず行い,術後早期の不明熱に対処しうるようにしている。今後,免疫抑制剤としてサイクロスポリンAの使用が一般化するであろうが,腎毒性を有す抗生剤を併用するとサイクロスポリンによる腎毒性が増強されることもあり1),抗生剤の選択には留意する必要がある。
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