交見室
膀胱腫瘍の深達度について
横川 正之
1
,
岡田 耕市
2
,
大内 達男
3
1東京医歯大泌尿器科
2埼玉医大泌尿器科
3順天堂大泌尿器科
pp.1176-1177
発行日 1982年12月20日
Published Date 1982/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203486
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臨泌36巻9号岡田清己先生らの「膀胱腫瘍の深達度に関する検討」には,腫瘍の大きさや数と深達度との関係など非常に重要なデータが含まれており,またstageの臨床診断の難しさを改めて思い知らされた。TNM分類の臨床的なTカテゴリーと全摘標本の病理学的pTカテゴリーとの一致率が45%という数字には,「やつぱりそうか」と共感を覚える人が多いことだろう。またstageとgradeはほぼ相関するものの,high gradeは予想以上にhigh stageであるとの指摘にも同感が多いことであろう。
昨年と本年の2回続けた日泌東部連合総会ワークショップ「表在性膀胱腫瘍の治療」でも,表在性腫瘍(Ta・T1)のうちlow gradeはTURをはじめどんな膀胱温存の治療でも概ね結果は良いが,high gradeは要注意であり,時に根治的治療を要するというのが演者のほぼ一致した見解であつた。なおついでに,本来high gradeであるTisは分類上は表在性になるかもしれないが,low gradeのTa・T1とはまつたく別物と考えるべきであるばかりか,T2やT3も加えてmassをつくる腫瘍とは区別する必要が論ぜられた。そうしないとflatなTisの微小な浸潤がいきなり膀胱壁を貫通したり前立腺に及んだとき,massがないのにT3b (pT3)とかT4a (pT4)と呼ぶべきかどうかで混乱するからである。
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