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講座
泌尿器科系疾患の微細構造の見方(11)—副腎の疾患
The Appliance of Electron Microscopy in Diseases of the Urogenital Tract (11): Diseases in the Adrenal Gland
土山 秀夫
1
,
河合 紀生子
1
Hideo Tsuchiyama
1
,
Kioko Kawai
1
1長崎大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, Nagasaki University School of Medicine
pp.1035-1041
発行日 1982年11月20日
Published Date 1982/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203456
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まえがき
副腎の疾患は数多くみられるが、泌尿器科における手術の対象となるものは,自ずと限られてくる。ここでは紙数の関係もあつて,そのなかでも頻度の高い3つの皮質および髄質疾患について,微細構造の見方を中心として概説を試みたい。
手術を対象とする副腎皮質の代表的疾患としては,原発性アルドステロン症(コン症候群)およびクッシング症候群があげられる。両者とも病理学的には副腎皮質の過形成,腺腫および癌腫に伴つて起こつてくる。しかし,実際上しばしば遭遇するのは,副腎腺腫に基づくこれらの病変ということになろう。
この両者は,臨床症状ならびに副腎皮質機能の両面から,術前に診断の確定するものが大部分を占めている。したがつて腺腫そのものの検索は,両疾患の形態学的裏付けか,またはステロイドホルモン産生腫瘍の本態や組織発生研究のためになされることが多い。ただ原発性アルドステロン症においては,特発性アルドステロン症の過形成結節との異同や,クッシング症候群の場合は,非腺腫部皮質の所見とも合わせて,腺腫状過形成と腺腫の鑑別など他の診断的意義をもつことも少なくない。
他方,副腎髄質の代表的疾患としては,褐色細胞腫に限定してまず差し支えない。
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