シンポジウム 血管カテーテル法による診断と治療・1
骨盤動脈造影による膀胱癌の診断
津川 龍三
1
Ryuzo Tsugawa
1
1金沢医科大学泌尿器科
pp.67-69
発行日 1979年1月20日
Published Date 1979/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202683
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はじめに
膀胱癌の浸潤度診断法として骨盤動脈造影が広く行なわれるようになつたのはSeldinger法によるカテーテル挿入技術の普及と,連続撮影装置,自動注入器などの開発によるところが大きい。日常の臨床における診断法の順序としては,黒田ら1),津川ら2)が述べるごとく,まず慎重に膀胱鏡検査を行ない,腫瘍の性状を把握し,腫瘍の位置を考慮しつつ,intravenous pyelography,contrastcystography,cystopolygraphy,parietographyが行なわれ,かなり高い診断率が得られるが,さらに骨盤動脈造影は同じX線学的方法であるが,血管を介しての観察,すなわちまつたく異なるアプローチによる検査法であることに意義がある。本法についてはBoijsenら3)にはじまり,Lang4,5)によつてほぼその体系が確立され,わが国では御厨,中野,松本6)によつて進度分類がなされ,1967年には,黒田,津川ら7)の考え方も報告された。以後10年を経過したが,このたび表題の事項について再度まとめる機会を得たので,現時点における本法の意義と限界につき述べる。
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