シンポジウム 血管カテーテル法による診断と治療・1
血管カテーテル法による腎血行動態診断
日台 英雄
1
,
藤島 智
2
,
日下部 正宏
3
Hideo Hidai
1
,
Satoru Fujishima
2
,
Masahiro Kusakabe
3
1横浜市立大学医学部泌尿器科
2横浜市立大学医学部第2内科
3東芝総合研究所
pp.55-58
発行日 1979年1月20日
Published Date 1979/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202680
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はじめに
腎血管系に挿入されたカテーテルを用いて腎血行動態をもとめる方法としては,通常の腎動脈撮影の他にXenonやKryptonといつた不活性ガスを腎動脈内に注入して体外のシンチカメラにより計測するThorburnらの不活性ガスwash out法1,2)や,Reubiらのごとく腎動静脈内にカテーテルを挿入して動脈側から色素を注入し静脈血中色素濃度曲線の解析を行なう方法3),あるいは腎除去率をもとめる方法4)などが行なわれている。不活性ガス法はガンマーカメラを使用することと,えられた値が100g組織重量あたりの量として求められる点などの問題がある。Reubiらのcuvetteを用いる色素希釈法は大量の脱血を必要とし汚染の可能性,あるいは脱血血液量の定常速度などの欠点があげられる。腎除去率についても側副血行あるいは尿やリンパ液の問題が考えられている。
このためわれわれは選択的腎動脈撮影時に簡便に行なえるear pieceを用いた定性的な色素希釈法と脱血することなく,したがつてポンプ速度や汚染,侵襲などの点で問題の少ない定量的なfiber-optic catheterによる色素希釈法を開発した。これら2方法と共に近年腎にも応用されるようになつた熱希釈法についても紹介する。
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