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特集 脊髄血管障害
脊髄血管の解剖および血行動態
Anatomy of the vascular system & circulation of the spinal cord
大友 英一
1
Eiichi OTOMO
1
1浴風会病院内科
1Dept. of Internal Medicine, Yokufukai Geriatric Hospital
pp.443-462
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903629
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はじめに
脊髄は二つの大きな血管系により支配されていることが特徴である。椎骨動脈から分岐して脊髄の前面を下行する前脊髄動脈と後面を下行する後脊髄動脈が一つの系統であり,他は大動脈,鎖骨下動脈から分岐して側方より脊髄に血液を送る根動脈系である。脊髄の静脈系はほぼ動脈系と同じであるがその走行は不規則かつ複雑である。脊髄の血管系は輸入血管と輸出血管とが明確ではなく,他の臓器におけるごとき方法で循環血液量を測定することは不可能である。
脊髄の血管障害の頻度は小であること,血管系は解剖学的に複雑でvariationも多いことなどから脳におけるごとく脊髄の血管系,循環動態についての研究は行なわれておらず成書における脊髄血管,循環についての記述は簡単であり,とくに循環については全く記載されていないのが現状である。
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