文献抄録
睾丸捻転について
pp.430
発行日 1978年5月20日
Published Date 1978/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202547
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睾丸捻転症による若年者の陰嚢内腫脹,疼痛の鑑別診断は,早期の外科的処置が必要なために臨床上極めて重要で,かつ最近症例も増加している。Barkerら(1976)の報告では,睾丸捻転症500例中90%は睾丸を救い得なかつたとしているが,最近ではParker(1971)その他の人々の報告によると,50〜60%に睾丸を救い得たとされている。しかし,救急処置により血流を回復した睾丸あるいは反対側の睾丸の機能などについては不明な点が多いので,著者らは捻転整復あるいは除睾術後followupし得た48症例について4ヵ月から最長13年,平均4年6カ月の経過観察の結果について報告している。
48症例中急性捻転症例は44例で,うち28例は睾丸整復と対側睾丸固定,16例は除睾術と対側固定,4例は疼痛反覆のために固定術のみを施行した。まず整復睾丸の大きさの変化については,対側睾丸の大きさ(容積)と比較検討したが,整復睾丸28例中9例は捻転発症後4時間以内に整復し得たので萎縮は認められなかつた。他の19例は大なり小なり萎縮を呈したが,超音波Doppler法による血流状態検索では正常であつた。術後陰嚢内症状については,睾丸整復と対側睾丸固定を施行した例では症状を訴えなかつたが,対側睾丸の予防的固定術を行なわなかつた25例については8例(30%)に睾丸痛の反覆が認められた。8例中2例は固定術を施行した。
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