交見室
癌の治療/膀胱腫瘍の分類法について
大田黒 和生
1
1名古屋市立大学泌尿器科
pp.932-933
発行日 1977年10月20日
Published Date 1977/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202442
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最近,読んだ本誌での論文の中で,ことに注目されたのは慈恵医大放射線科,望月幸夫教授執筆「泌尿器科領域における放射線治療」である(本誌,30巻,12号,995頁)。従来,私共,泌尿器科医は正直に申して,放射線療法それ自体にあまり期待を持つていなかつたと思う。根治手術後の再発予防の目的でも,手術不能症例に対する直接的治療でも,放射線照射の効果はそれ程なかつたように思う。もちろん,望月氏もご指摘のようにその放射線感受性と治療可能比からいつて,SeminomaとWilms腫瘍に関しては照射療法の有効性が実証されており,私共も昔からその効果を信頼していた。しかし,中等度感受性,あるいは抵抗性腫瘍についてはほとんど信頼していなかつた。泌尿器科領域では国立がんセンターの松本恵一部長の開創照射による膀胱癌治療成績が話題となつたことがある。ただ,その普遍性という点では難点が残されているようである。
望月氏の論文を拝見して感じたことは,放射線治療学のプロが,こんなに温く手をさしのべてくれているのにわれわれ泌尿器科医がそれに答えないでいては恥しいということである。
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