Japanese
English
綜説
膀胱腫瘍の組織分類
Histological Classification of Urinary Bladder Tumors
伊東 信行
1
Nobuyuki Ito
1
1名古屋市立大学医学部第一病理学教室
1First Department of Pathology, Nagoya City University Medical School
pp.101-107
発行日 1983年2月20日
Published Date 1983/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203508
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はじめに
原発性膀胱腫瘍の分類は各国で様々に行われていたが,そのうち現在までに比較的よく用いられていたのはWHOやAFIPなどの分類であろう1,2)。しかし,近年膀胱腫瘍に対する国際的な研究と情報の交流が活発になるにつれ,わが国でも全国の各機関が独自の膀胱腫瘍分類を行つていたのでは国際的対比研究などの際,種々の不便があるため日本泌尿器科学会と日本病理学会が中心となつて新しい分類が行われ,徐々に各方面で利用されるようになつてきている3,4)。この組織分類を作製するにあたつて最重視され,配慮された点は膀胱癌患者の予後判定や治療指針設定その他で多方面において容易に利用でき,かつ客観性と再現性に富んだものであることのほか,特に近代の科学技術の進展に対応してコンピューターによる統計処理が容易であり,そのうえ国際的にも多くの施設で研究協力が行いやすいような分類にすることであつた。したがつて,わが国はじめ世界各国において出されている新しい膀胱腫瘍分類の確立を目ざす注目すべき提案や研究などについても5〜10)十分討議されたが,特に採用されなかつたのは大幅に差異のあるものでは国際交流上混乱の生ずる可能性を否定しえないという理由によつている。本稿ではわが国の分類と世界の主要分類とを対比しつつその大要と問題点を述べたい。
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