Xe-133による陰茎内血流動態の研究

HEMODYNAMIC STUDY OF THE HUMAN PENIS USING XENON-133

緒言

　ヒトの勃起のmechanismについてはこれまでいろいろの説が述べられてきたが，Conti　（1952）^1）はヒトの陰茎を解剖学的に検討した結果，陰茎には内腔を自由に変えることのできる構造をもつ動脈および静脈，さらには動静脈吻合が存在することを明らかにした。そして彼はこれら構造よりヒト陰茎の勃起のmechanismを次のように推測している。すなわち非勃起時には血液はこの動静脈吻合を通つて海綿体内には流れないが，勃起時にはこの動静脈吻合が閉じて血液は海綿体内に入り，陰茎海綿体以外の陰茎組織に注ぐ小動脈も収縮するため更に多くの血液が陰茎海綿体内に流れこむ結果となる。更に陰茎海綿体よりの流出静脈も勃起時には内腔が閉じて，海綿体からの血液の流出を妨げ勃起を促進すると説明している。

　しかし，Newman（1964）^2）はヒト成人および屍体の実験から，血液がある一定量以上陰茎海綿体内に流入すると必ずしも静脈系の閉鎖機構が働かなくとも勃起はおこると説明している。

In pursuit of the true mechanism of human penial erection we performed following experiments with human adults. A modicum of radioactive xenon-133 was injected into the corpus cavernosum and its disappearance out of the blood stream was traced on the clearance curve. Visual sexual stimulation (V.S.S.) was given to the subject and changes in the curve were studied. When the penis remained relaxed, the rate of Xe-133 decrease was very sluggish with the curve declining very gently, but with V.S.S. the curve turned to fall precipitately, showing a sudden increase of penial blood flow.