交見室
骨盤動脈撮影法による膀胱癌浸潤度判定/尿道留置カテーテルに伴う尿路感染症の防止
三品 輝男
1
1京都府医大泌尿器科
pp.897
発行日 1976年10月20日
Published Date 1976/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202246
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加藤氏らの「膀胱癌浸潤度判定に対する骨盤動脈撮影法の意義」(臨泌,30巻6号)を興味深く拝見いたしました。著者らは膀胱癌患者41例に骨盤動脈撮影を施行後,御厨—松本の進度分類法(1965)に基づき血管像を分類して,組織学的浸潤度と対比検討された結果,その的中率はT025%,T163%,T255%,T311%,T489%で,あまり良好な成績を得られなかつたので,血管像をType Ⅰ(T0,T1),Type Ⅱ(T2),Type Ⅲ(T3,T4)の3つにまとめて血管像の浸潤度分類を行なつたところ,それぞれ100%,55%および83%の診断的中率であつたと述べておられます。
骨盤動脈撮影の目的はあくまでも膀胱癌の治療方針決定に必要な浸潤度を知るにあるわけで,著者らのごとく血管像をType Ⅰ,Ⅱ,Ⅲと大まかに分類されたことは臨床的に実用性のある賢明な分類法であると思われます。しかし,Type ⅡにおいてStage Aの3例,Stage Cの2例をそれぞれoverstagingおよびunderstagingし,5例をStage Bと誤診された結果,診断的中率55%というあまり芳ばしくない結果を示されておられますが,これはとりもなおさず本検査法の欠陥を示したものだといえます。
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