文献抄録
両側腎腺癌の腎摘出症例と文献的考察
pp.322
発行日 1974年4月20日
Published Date 1974/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201792
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腎癌は生体の悪性腫瘍の2.8%に発生し,米国の1971年の1年間で約6,700名が死亡している,妊婦に腎癌をみることは極めて稀であるが,著者は24歳の妊婦に発生した両側性腎癌の摘出症例を報告し,併せて文献的な報告を行なつている。
著者の症例は24歳の白人の妊娠4ヵ月の婦人で,右季胸部に10×15cmの腫瘤を主訴に入院した。血液とその生化学的検査ではまつたく異常を認めないが,IVPおよび腎選択的動脈撮影により右腎腫瘍と診断して腎摘施行,組織は淡明細胞癌であつた。摘出時に反対側の腎触診で3個の硬結が触知され,左側にも腫瘍の存在を認めたので,日を改めて重要臓器・骨などに転移のないことを確認のうえ左腎をも摘出し,以後人工透析を行なつている。
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