増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅰ 上部尿路・副腎系の局所解剖
2.腎臓
経腰的腎摘出術
金武 洋
1
Hiroshi Kanetake
1
1長崎大学医学部泌尿器科
pp.48-52
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902029
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本法は腎腫瘍,腎盂腫瘍,腎膿瘍に対する腎摘出術を行う際の基本的な到達法である。この方法の特徴は(1)他臓器に与える影響が少ない,(2)腹腔内を汚染する危険性が少ない,(3)腎周囲からのドレナージが容易かつ効果的である,(4)創部の治癒は良好で,術後瘢痕ヘルニアの生ずる可能性がほとんどない。短所として(1)腎茎部への到達が経腹的に比べて直接的でない。すなわち腎周囲を剥離してからでないと腎茎部に達することができない,(2)通常の腎の位置に対しては,この方法では手術野が低い,(3)肋骨下神経損傷の危険性がある,(4)心肺機能低下あるいは不全を有する患者には負担となる。
萎縮腎あるいは病変が下極にあり,腎摘が比較的容易と考えられる際の肋骨下切開法と,病変が上極にあり腎摘が困難と考えられる場合には経肋骨切開が施行される。この2つの到達法を頭に描いて局所解剖を考察する。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.