Urological Letter・160
前立腺癌の生検—根治手術標本では癌は否定
pp.354
発行日 1974年4月20日
Published Date 1974/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201796
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67歳の患者を診たが,前立腺の左葉に硬い部分があつた。IVP,膀胱鏡検査,血清酸フォスファテースの検査などを行なつたが,いずれも正常であつた。シルバーマン針で会陰式に生検を行なつたところ,病理の解答は前立腺の浸潤性腺癌ということであつた。そこで1970年11月に根治的前立腺摘出術を行なつた。ところが,この摘出標本については何ヵ所も繰り返ししらべたが,悪性所見はないという答が病理から返つてきた。そこで多くの病理学者が前の生検標本や摘出標本について検討した。そして総ての人が初めの診断に同意した。
この患者は今日でも健康である。手術して以来,レ線学的にも臨床的にもまた生化学的にもまつたく前立腺癌の徴候は出ていない。この明らかな矛盾を適切に説明できるものはない。しかし,あえて考えれば次のことが挙げられる。
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