Urological Letter・150
Ⅰ.小児の腎性高血圧/Ⅱ.窒素血症(Azotemia)の珍しい原因
pp.549
発行日 1973年7月20日
Published Date 1973/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201637
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小児の腎性高血圧は必ずしも成人と同じような予後の経過をとらない。小児の高血圧はしばしば自然に可逆性になる。かかる観察はロンドンのGreat Ormond Street病院の小児腎臓病の専門家であるDr.Martin Berretによつてなされた。
筆者は1961年以来,膀胱尿管逆流現象から2次的に起こつた両側性の進行した腎盂腎炎の少女を診ている。一時期,彼女の血圧は140/100にあがつていた。そこで逆流を矯正した。それまでに両側腎臓に著明な瘢痕萎縮がおこつていたが,それ以後急性または慢性の腎盂腎炎のエピソードは起こらなかつた。血清クレアチニンは0.5mg%であつた。腎動脈撮影では右腎の最も瘢痕萎縮のつよい部分に血管の細小化がみられただけで,他に特別な病的所見はみられなかつた。患者はDiuril(クロロサイアザイド)やアルドメットに速かに反応した。これらの薬剤はその後の18ヵ月間に徐々に減量しつつ中止し,現在はすべての薬の投与をやめている。しかも,患者は正常の血圧を保つている。
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