文献抄録
睾丸回転症の解剖と診断
pp.930
発行日 1971年11月20日
Published Date 1971/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201265
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著者らは1960年以降経験した40症例の睾丸回転症について臨床的観察を行なうとともに発生要因の解剖学的所見について述べている。
40例の治療方法についてみると第1群の11例は急性の睾丸回転症症状にて来院したが,いずれも回転を整復した上に睾丸固定術を施行。第2群の慢性的な睾丸回転症症状を反覆するいわゆる慢性型の回転症に対しても睾丸固定術を施行。第3群の19例に対しては睾丸動脈栓塞による壊死のために除睾術が施された。これら3群の症例についてみると,第1群の整復可能であつた例は11例で,右側6左側5睾丸である。年齢は8歳より21歳の患者であつて,手術をうける以前にも疼痛発作を経験し,自然整復している。急性発作より来院手術までの経過時間は7時間以内9名,他は12時間以内1名,18時間以内1名となつている。手術時に観察された回転原因と考えられる解剖学的要因についてみると4型に分けられる。第1型は正副睾丸と精索を高い位置で白膜が包んでいるもの4例,第2型は睾丸間膜が長くかつその附着部が狭小で睾丸の可動性が大きいもの1例,第3型は副睾丸自体がその部にて回転したもの2例,第4型は正副睾丸が完全に分離していたもの1例となつている。
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