Japanese
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手術手技
特発性後腹膜線維症とその手術手技
Idiopathic Retroperitoneal Fibrosis: Surgical Procedure
南 武
1
Takeshi Minami
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
1Department of Urology, Jikei University school of Medicine
pp.539-546
発行日 1971年7月20日
Published Date 1971/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201192
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はじめに
Cerneyら1)は後腹膜線維症を3つに分けて,原因の明らかなもの,疑わしい原因があるもの,まつたく原因がわからぬもの,としている。
原因となり得るものとしては,MethysergideやErgotaminなどの長期連用2),上行性リンパ管炎を伴つた下肢の炎症3),血管性疾患4〜6),胃腸炎7,8),下肢の血栓性静脈炎や下腹部の強打による血腫,腹部大動脈瘤からの血液の漏出によるもの,胆嚢破裂とその周囲の広汎な膿瘍で,手術でいつたんは良くなつたものの4ヵ月後に後腹膜線維症のため無尿となつた例1)などがある。またHenoch-Schoenlein症候群と後腹膜腔出血後2ヵ月して起こつた5歳の少年の例7)もある。なお幼小児の例にはFarrerら9)やDuffy10)の報告もあり,またアジアカゼのあとに起こつた例11)もある。これなどはアレルギー性血管炎によると考えられており,組織像も多彩である。淋疾から長期の骨盤内炎症を起こすことは知られているが,慢性細菌性膀胱炎から後腹膜腔炎が起こる可能性もある1,12)。また胆道系の手術やWertheimの手術,盲腸後虫垂の手術後などにもおこり,潰瘍性大腸炎,尿路感染,腎周囲膿瘍のあとにも起こることが知られている13)。
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