文献抄録
両側同時発生の原発性尿管癌の2例
pp.168
発行日 1971年2月20日
Published Date 1971/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201120
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人体の重複癌は必ずしもめずらしくないが,主題のような尿管癌は文献的にも極めて稀なものである。今までに報告された症例は12例であるが,内7例は同時に発生しており,5例は時期を異にしているものである。著者の2症例を紹介すると,第1例は68歳男子,主訴は無症候性血尿,入院時の血液生化学的検査では特に異常を認めない。排泄性腎盂撮影で右側尿管上部に2.0cmと左尿管下端部に0.6cmの陰影欠損部を認め,その近接部の尿管は軽度に拡張している。内視鏡では左尿管口が梢浮腫状に開大している。治療は左尿管下端を切除,尿管膀膀再吻合。右側尿管もURJ近くを切除し,尿管尿管の吻合を施行した。
この症例では術後3ヵ月で膀胱頂部に腫瘍が発生したので電気焼灼し,その後約9ヵ月健康である。腫瘍はいずれもGrade Iの乳頭状移行上皮癌であつた。
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